【腐る経済】人生の「軸」はどうやって作るのか


腐る経済

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」を読みました。むむ、何を無職の分際で意識高い経済書を読みやがるんだ…とお思いの読者もいらっしゃるでしょう。

こちらの本、いかにも売れそうなタイトルをつけているだけで、その実態は1人のオッサンが三十路を超えてから人生に悩み、夢枕にたった祖父が残した「パン屋をやりなさい」という助言を真に受けてパン屋として独立し、豊かな人生を掴むまでが記された本なのです。

その、「幸せを掴む過程」がとってもユニークでありながら、誰にでもヨコ展開可能な方法で実にタメになりました。



人生の「軸」は、会社で言う「ミッションステートメント」

あなたの人生の”軸”って何ですか?と聞かれて、さらっと応えられる人ってそうそういないとは思うのですが、この本を読むと著者がその”軸”をどうやって作ったかが具体的に理解できます。

ビジネスに置き換えると、あなたの会社の”ミッションステートメント(経営指針)”は何ですか?という話としても捉えられます。

僕もサラリーマン時代に感じましたが、ミッションステートメントがドンっと定まっていると、ちょっとやそっと仕事上の悩み事があっても、足元を見つめなおして再出発することができます。

といった感じでこの本、タイトルから想像するような「経済書」とはちょっと違う、「ケーススタディ」と表現した方がしっくりくるトリッキーな本なのです。

「軸」なんて非常識でも大丈夫

そろそろ、「パンと経済に何の関係があんねん」という部分に触れていきます。

この本は僕が居候しているゲストハウスを訪ねてきたお客さんがオススメしてくれました。聞けば岡山に実在した(現在は鳥取に移転)、地元では有名なパン屋さんだそうです。

本の著者のワタナベさんは脱サラして、パン屋として独立するために色々なパン屋で修行を積むのですが、とある店でメタクソにコキ使われて疲れ果ててしまいます。

パン屋の労働時間は長いと思っていたが、これほどまでとは…いや待て、そもそも何でパン屋の労働時間は長いんだ?

と素朴な疑問にぶち当たります。ここで登場するのがかの有名な経済学者のマルクスです。マルクスを愛読しているワタナベさんは、何かにつけてマルクスの経済学になぞらえて物事を解決に導こうとします

マルクスの経済学によると…
  • 労働者は「労働力」を対価にして「賃金」を得る。
  • 雇用主は「労働力」を使って「利潤」を得る。
つまり雇い主としては同じ日当1万円の労働力なら、長時間コキ使った方が利潤が多く生まれるのは当然。だから労働者の労働時間は長くなるのは当然。という結論を導き出します。

とまあ、こんな調子で、ワタナベさんがパン屋で独立するまでも、独立してからも、壁にぶつかるたびにマルクスの経済学を振り返りながら問題解決をしていく様子がガンガン描写されています。
その結果、ワタナベさんはあるヤバい結論を導き出します。

世の中のあらゆるものは腐るのに、経済(お金)だけはなぜ腐らないんだ?僕は「腐る経済」を体現したパン屋を作りたい。

どうですか、ヤバいでしょう。そう、ヤバいんです。常識的に考えて、なんでもかんでも「マルクス経済」は「パン」になぞらえることはできないのですが、ワタナベさんは人生の”軸”としてマルクス経済を据えているので、なんでもかんでもマルクス経済で打開できちゃうんです。

でも安易に「常識的にありえないよ〜」で片付けないでください。ワタナベさんはマルクス経済に立ち返るたびに困難を打開して、そのたびに彼の人生は好転していくんです。”軸”を定めるのは完全なる「自分ルール」でもOKなんです。

もし、あなたの人生が疑問や壁だらけで、それを解決するのが途方もなく感じているならぜひ「腐る経済」を読んでみることをオススメします。

あと、ただ単にパン作りが好きな人にもオススメします。ワタナベさんはかなり高度なパン作りをしていて、どんな方法でパンを作っているのかも書かれているので参考になること間違いなしです。

マルクスの部分はすっ飛ばして読んでもパン作りの参考書としてじゅうぶんに価値があると思いますw


 

篠崎愛ちゃんが俺の夢枕に立ってくれたら人生変わるのにな〜(雑なオチ