母の日にプレゼントはしない 喜んでる顔は見たくないから


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もうすぐ「母の日」なのかな?もう過ぎた?そういえば僕は母の日にプレゼントしないなぁ。

唯一、母の日といえば、友達と地元で飲んでて「母の日くらいなんかあげなよ」と言われたノリでカーネーション一本買って酔っ払いながらウェーイ!ってプレゼントしたことがあるくらいか。

嫌いだからプレゼントをしてなかったわけじゃない。でもプレゼントはあげない。そういえばなんでだっけ?自問自答。

わかった。ウチの母は「健気じゃない」からだ。だからプレゼントをあげる側もあんまり“あげ甲斐”がないののかも。

うーんいや、ちょっと違うかな…。本当は、母が僕からプレゼントを受け取ってホクホクした顔を見たくないだけかもしれない。「いつまでもカッコイイ存在でいて欲しい」という僕の理想像を壊して欲しくないから、あえてプレゼントをしてないんだろうな。


保護者コミュニティに中指を立てる母

僕が物心ついた頃からシングルマザーだった母。子供が小学校くらいになると保護者で雑用やらナントカ会の運用といったアレヤコレヤを分担してやると思うのだが、僕の通っていた学校は保護者同士がやたらに仲が良く、アレヤコレヤの延長として強固なパパママコミュニティが出来上がっていた

いわゆる女手一つだった母は、アレヤコレヤにどれだけ時間を割けたのかわからないが、パパママコミュニティのことは拒絶していたようだった。
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僕が「××君のパパと△△ちゃんのパパって仲良いらしいよ」と、ヨタ話を差し向けても、母は「FUCK!」とだけリアクションするような人だった。小学生でもFUCKくらいわかるよ。

単に忙しかったから、割り切ってパパママコミュニティからは足を遠ざけていただけだと思うが、割り切りの潔さに畏敬の念を抱いていた。

虎ノ門バリキャリから松屋バイトに転身する母

ある日、母が異常なハイテンションで帰宅したことがあった。ワケを聞くと、翻訳だか通訳の資格を取得できたらしい。まもなく母は虎ノ門だかその辺で、英語を駆使したカッチョいい感じの仕事を始めた。詳細はよく知らないが僕も誇らしかったのを覚えている。

僕が高校だか大学になると、母は突然英語を駆使した仕事を辞めてしまった。ワケを聞くと「人間関係の煩わしさがない仕事をする。とりあえず駅前の松屋でバイトするから」と言い出した。母のバリキャリライフは幕を閉じた。同時に僕がヘビロテで利用していた駅前の松屋ライフも幕を閉じた。
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母にとって松屋のバイトはよっぽど人間関係の煩わしさの無い、良い職場だったんだろう。かれこれ10年くらい続けたのかな。

母は昼休みになると帰宅して自炊ランチをしていた。松屋のユニフォームのまま食後のタバコをくゆらす母に「せっかく松屋なんだから賄いで牛めし食べればいいのに」と訊ねると、「松屋なんて得体のしれない肉使ってるんだから食べれたもんじゃない」と一刀両断されたのを鮮明に覚えている。それだけ割り切って松屋の仕事をしてたんだな。

旅こそ人生だと教えてくれた母

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僕が高校を卒業して手がかからなくなると、母は頻繁に旅をするようになった。フラダンスとサルサに取り憑かれていた母の旅先はもっぱらハワイorキューバ。

旅は短くても10日間くらい行っていた。もし母が虎ノ門のバリキャリだったら、人間関係の煩わしさで長期の休みが取れなかったのかな。だから松屋のバイトに転身したのかな。最強レベルに合理主義者だなと思う反面、母がそこまで熱をあげる「旅」ってなんなんだろう、と思っていた。

今、僕が旅が好きなのは、そんな母の背中を見ていたからだ。旅をしない人生なんてクソつまらないと本気で思っている。
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縛られた人生だったから、僕を縛らない母

僕が人生で大きな決断をするとき、いつも母には事後報告のLINEで済ましている。
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僕「自転車で東日本まわってくるわ」
母「人様の迷惑になるんじゃないよ」

僕「仕事辞めて尾道のゲストハウスに居候するわ」
母「ゲストハウス人間になったらカタギには戻れないね(笑)」

僕「福岡の糸島に移住するわ」
母「周りの人への感謝を忘れずに」

こんな感じ。本当に一言レスしてくれるだけで、なんの束縛もしない。

考えてみたら、母がたの親戚も、父がたの親戚も、重箱の隅をつつくようなツッコミ体質のマジメ人間ばかりだ。奔放な母はツッコミの標的となり針のむしろ。さぞ苦痛だったろう。

今や母は親戚づきあいさえもほとんど絶って、旅をしまくっている。束縛の糸が切れたタコのようだ。楽しそうで何より。

そんな母に今年こそプレゼントを…

なーんてオチだとブログもキレイに締まるとは思うが、今年も母には何もプレゼントしません。

長生きしろよババア!(雑なオチ