ハトと生きる
「あれはキジバトだね」
と、当時中学生だった僕は言ったらしい。
とある友人は僕との思い出話をするとき「中学生なのにドバトとキジバトの違いを説明している姿が印象的だった」というエピソードをたびたび持ち出す。
別にハトが好きなわけではなかったのだが、めぐりめぐって今、ハトと奇妙なシェアハウス生活をしている。
初代&二代目白黒カップル
ちょうど一年前くらいの話。ハトが住み始めたのは我が家のガスメーターだ。糸島市は鳥が多く、あちこちに様々な種類の鳥が生活している。だからガスメーターにハトのつがいが住み始めたのも対して不思議に思ってはいなかった。
しかし、しばらくするとガスメーターに新しい命が宿っていた。
たちまち二代目の誕生なのである。
ハトの赤ちゃんってピンク色なのね。あらかわいい。
一気にハトに愛着を持ち始めてしまった。
朝出かけるときに行ってきます。夜帰ったらただいま。そう声をかけるのが日常になっていた。
ハトの成長は早い
我が家の向かいの家の屋根にて。左のカップルが初代、右の二人組が二代目の兄弟。白と黒のカップルから白と黒の兄弟が生まれるなんて、うまくできてるんだなあ。
東京に住んでる時はハトなんて、上野公園で乞食をナリワイにしてる意地汚い集団だろと思ってたのに…
実はハトってカップルとか兄弟で肩を寄せ合って生きるのだ。
三代目白黒
二代目の白黒が去年の夏に巣立って、季節が一周した。
ある日出かけるとき、それまで空っぽだったガスメーターに新たに枯れ草が集められているのを見つけ「おっ」と思った。
二代目の白がパートナーを連れて帰省していたのだ。隅に置けないハトなのだ。
そしてたちまち三代目の誕生なのである。しかも二羽。
僕は二代目が健やかに巣立っていった姿を知っているだけに、三代目にも無事に巣立っていってもらいたいと願っていた。
ところが、ここで三代目に天敵が現れる。天敵の名は「アパートの管理人」だ。
ある日の朝、廊下をホウキで掃く音が聞こえた。
「シャッ、シャッ、シャッ」
「ボトッ」
「あーもう!」
「シャッ、シャッ、シャッ」はわかる。しかし「ボトッ」と「あーもう!」ってなんだ?
悪い予感がする。
廊下に出てみると、イラついた表情の管理人と、その足元にコローンと転がる三代目の姿が。
管理人はガスメーターの枯れ草をホウキで掃こうとしたらしい。その拍子に三代目が落ちてしまったのだ。
幸い、三代目は怪我もなさそうだった。管理人には三代目が巣立つまではガスメーターは見逃してもらうことにして難を逃れた。
ハトと生きる
とまあ、ここまでが現状である。三代目は羽毛も生え揃いつつあって、どうやら三代目も白と黒の兄弟になりそうだ。
三代目がガスメーターからポロリしたあと、もし二代目が育児放棄したらどうしよう。我が家で手乗りハトとしてブリーディングしてやることは可能なのか。とか色々考えたが杞憂だったようで、日に日に身体が成長している。
この後、三代目は飛行訓練に移っていくのだが、これがまたかわいい。
「ムリムリムリムリ!」って感じでビビり倒しながら決死のファーストフライトを決めた二代目を見ている。三代目の飛行センスはいかがなものだろうか。
とりあえず、ハトと生きてます。(雑なオチ