10年間東京で働いてて、ジワジワ襲ってきた不安の正体


50
僕は10年くらい東京で働いていました(学生時代のバイトも含めて)。そして31歳で仕事を辞めて福岡の糸島に移住し、最近はもっぱら読書とボルダリングの日々を過ごしています。

バリバリ最先端な感じのIT業界で働いていて、自分の仕事が想像を絶するほど多くの人に届いていることをヒシヒシと感じていました。やりがいもあった。

でも仕事を辞めた。なんで?と聞かれることは多かったんですが、今までは自分でもちゃんと説明できませんでした。「このままではマズい」という説明不能な観念が背中を押して辞めたんです。

最近その答えが少しわかってきました。キーワードは「流動性」です。


仕事を辞めて旅する理由

仕事を辞めたらとりあえず旅だろ!

くらいのノリで西日本を旅して、尾道のゲストハウスに住み着いたりしてきました。そしてとりあえず今は糸島に腰をおろしている。

まさに自分探しの旅だったわけですが、僕が会社を辞めた理由の一つは「場所にとらわれること」に対する不安だったんだな、と旅をしながら気づいたんです。

渋谷でIT漬けの日々は楽しかったんですが、生活サイクルが悪い意味でパターン化してしまっていて、それが漠然と「ヤバい」気がしていた。仕事!酒!の繰り返しで「自分への投資」に時間もお金も使えていなかったなあ、と。

ライフネット生命の会長である出口治明さんの本「働く君に伝えたい『お金』の教養」で、マイホームを買うデメリットについてこう書いてありました。

長期の、たとえば35年ローンを組むと、身軽に生きづらくなります。仕事を辞めにくくなるし、引っ越しもしづらくなる。埼玉に家を買ったら鎌倉にある職場には転職しづらいし、留学や起業など大きな挑戦をしようと思っても、「失敗したらローンが払えなくなるかも……」と思うと躊躇してしまうでしょう。つまり、自分の一生が家に縛りつけられてしまうのです。将来の自分の行動を縛ることにつながる選択は、雇用の流動化が進む世界では大きなリスクになると考えます。
これを読んで僕は会社員時代に感じていた不安の正体がわかりました。漠然とした「ヤバい」という気持ちは、「流動性のない人生はヤバい」ということだったんです。

流動性のある人生はネットがもたらしたものです。でもでも、僕はネットを仕事にしてたのに、流動性どころか渋谷に縛られて生きているようなパラドックスに苛まれていたのです…!(パラドックスって言いたかった)

見えない未来を流動性で乗り切れ

このまま仕事を続けたら足の裏から根っこが生えて渋谷から足が抜けなくなってしまうんじゃ…と変な焦りがあったんだと思います。日本の常識、東京の常識、渋谷の常識が染み付いていく怖さ。

ロボットが人間の仕事を奪って、人間がヒマになったとき、渋谷の常識が脳みそに焦げ付いたオジサンは果たして生きていけるんでしょうか。

今まで常識だった働き方が激変する未来は近いと僕は思っています。きっと僕らの世代はテクノロジーからハンパない選択を突きつけられるはずです。そのハンパない選択を上手に乗り越えられるかどうかのカギは「流動性」にあるんじゃないでしょうか。

労働時間が半分になるかもしれないし、正規雇用・非正規雇用の違いも変わってくるかもしれない。どう転ぶかわからないなら流、動しながら時代の波を乗り切るしかないですよね。

あとはお金に関する知識も重要です。前述の「働く君に伝えたい『お金』の教養」はマジで良書です。マネーリテラシーに自信のない人は必読。お金の不安がぶっ飛びますし、ライフネット生命の出口さんの人生観のサイコーっぷりも見事。

KIndle版は実質半額で買えます。


出口さんが納豆を1万回くらいかき混ぜる記事が昔あったなあ(雑なオチ